困窮する世界の人々を支援してきた特定非営利活動法人「国境なき医師団日本」による企画展「エンドレスジャーニー」が東京都内のアーツ千代田3331で開催中だ。
国境なき医師団は「独立・中立・公平」の理念のもと、世界中で活動する医療・人道支援団体だ。1971年に設立され、92年に日本事務局が発足した。
「終わらせたい、強いられた旅路」という副題がつけられた今回の企画展は、日本人にとって実感するのが難しい難民問題について、その現状を実感しつつ、支援の必要性を理解してもらおうという試みだ。
7080万人――タイの総人口に匹敵するこの数は、18年末の時点で、紛争や迫害により、避難を余儀なくされた人たちの数。第2次世界大戦後最多となる難民は、なぜ国を出て、どのような状況で暮らしているのだろうか。
今回の展示では、四つのアイテムが印刷された「エンドレスジャーニー・チケット」を手に、そのアイテムが展示のどこに登場するものか、探しながら進んでいく。とくに大きな問題となっている、アフリカ、地中海、アジア、中東、中米の現状、そこで心身ともに受ける傷などを考えるために展示されているのは、印象的な写真の数々だ。
来場者が受け身で展示を観るだけでなく、実感できる工夫がこらされているのも特色のひとつだ。難民キャンプのトイレや、水汲み、難民や移民の収容センターのスペースについては、体験できるコーナーが設けられている。「生活のための水を運ぶ子どもたちがいる」ことは、情報として知っていても、自分でその水を持ってみると、どれだけ過酷なことなのか痛感するだろう。
展示の後半では、国境なき医師団の活動を紹介。活動地で撮影した映像を大型ディスプレーで観るコーナーもあり、『国境なき医師団を見に行く』を出版したいとうせいこうさんらによるトークイベントも開かれる。
特筆すべきは、詩人・谷川俊太郎と美術作家・諸泉茂によるコラボレーション「手当てする」が展示された部屋だ。