「ツイッターでパフォーマンスが話題になったときは、『知る人ぞ知る』のようにマニアックな人たちの間で広がっていった印象でした。新しい地図さんに楽曲提供してからは、初めて会った人にも『聴いたことある』と言われることが増えました」

 たった1年で環境が急激に変わった。SASUKEは冷静に自分の立ち位置を見つめる。

 最近は、どう作曲するか、歌詞やPV、宣伝方法まで、どうすればリスナーが面白がれるのかをとことん考えるようになった。だが、そんな自分にも少しだけブレーキをかける。

「今までは感覚で作っていたけれど、最近は色々なことを考える時間も増えてきちゃいました。そうではなくて、僕の中の自然の流れのままに作っていきたいなという思いもあるんです」

 この春、中学を卒業して、ネットの通信制高校「N高等学校」に進学した。地元愛媛と東京を行き来する日々だ。

「自分が聴いて、テンションが上がって、ずっと聴いちゃうくらい気に入る曲を作りたい。これまでも音楽には真剣に取り組んできましたが、これからはもっと集中して作っていきたい。自分がこうしたいと思うものをうまく調整して、できるようになればいいなって思っています」

(編集部・福井しほ)

AERA 2019年12月23日号

■フィンガードラマー/トラックメーカー SASUKE(16)
2003年5月21日生まれ。愛媛県出身。5歳から作曲を、9歳からフィンガードラムを始める。19年8月、4th Digital SG「J-POPは終わらない」、5th Digital SG「夏ぼっち」を配信リリース

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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