──今年は「TAMA映画賞」で最優秀新進男優賞を受賞されました。
成田:本当に映画が好きな人に認められた感覚というのは、やっぱり嬉しいですね。やっと「日本映画に仲間入り」させてもらえたのかなと。「あ、受け入れてもらえたんだ」って、安心にもつながります。自分が好きなことを好きなようにやってしまっているので、「自分が楽しいと思って取り組んでいる仕事を、皆さんにも理解していただけたんだ」という感覚ですね。
でも、自分のことは、「オリジナリティーがないんじゃないかな」と思うこともあります。モノマネ芸人さんに真似をされるくらいのオリジナリティーが欲しいですね(笑)。
──経験を重ねても、不安や恐れといったものからは逃れられないですか。
成田:やっぱりすごく怖いですよ。「ちょっとお芝居が大きかったかな」「大丈夫かな」と思うこともありますし、観客の方が自分の芝居を見てどう感じるのか不安になることもあります。「カツベン!」の撮影中も、「自分の演技は大き過ぎたんじゃないかな?」と感じることもありましたが、一つの作品として初号試写を観たときに、心から感動できたんです。「これが“楽しい映画”というものなのか」と素直に思えました。
──「今後はこんなことをやってみたい」という野望のようなものはありますか。
成田:今年は映画が中心のお仕事となり、ドラマにはあまり出ていないんです。物語が魅力的であるかどうか、いまこの役を自分が演じたらどうなるか、という視点から出演したい作品に取り組んできました。非常に勉強になりましたが、これからは舞台など、別のチャレンジをしてみても面白いのかな、と思います。
(ライター・古谷ゆう子)
※AERA 2019年12月16日号