当初は「遊びを優先したい」という思いの強かったAくんも2週連続の宿題忘れはどうしても避けたいようです(笑)
クラスメートが一緒に参加するという状況では、他の3人も少し決意が揺らぐのかなと予想したのですが、むしろ「断る」の意思が固くなるという結果になりました。
参加人数が多いほど、先生の説教の時間が長引くに違いないという発想は普段の学校生活で得た知恵(?)なのかもしれません。
最後に「どんな条件なら友達の誘いを断らない?」と尋ねてみると、質的にも量的にもこの内容であればやりきれると事前に判断できたときという非常に現実的な答えが返ってきました。
遊ぶ前に宿題を少し終わらせておくなど、自分なりの工夫を思いつくところに中学年クラスの頼もしさを感じます。
ふりかえりでは、自分の意見の根底にある判断基準はいったい何なのかについて考えます。その際に参考にした判断基準は以下のとおりです。
・自分がやりたいことをする【自分】
・親や先生の意見に影響されやすい【親・先生】
・他人の目を気にする【他人】
・ルールを守ろうとする【決まり】
・実質的に意味があることを優先する【実利】
・モラルを大事にする【道徳】
全5回のケーススタディーの結果を並べてみると、自分の判断基準の傾向がなんとなく見えてきます。
「『決まり』に偏ってるなぁ」
「僕はみんなと違って、『自己』がめっちゃ多い」
「たしかに、普段でも親や先生の目を気にしがちかも……」
自分の判断基準を認識し、その判断基準の是非を自分なりに考える。今回のプロジェクトもいよいよ山場を迎えました。
※AERAオンライン限定記事
○山田洋文(やまだ・ひろふみ)/1975年生まれ、京都府出身。教育家。神戸大学経済学部卒。独立系SIerのシステムエンジニアを経て、オルタナティブスクール教員に。2016年4月、京都市内でプロジェクト学習に特化した探究塾の探究堂(http://tanqdo.jp/)を開校。探究堂代表、認定NPO法人東京コミュニティスクール理事。