名古屋市の会社員の男性(47)は言う。

「子どもの医療費が無料だったのは本当に助かりました」

 娘(17)は小さい頃、身体があまり強くなく、とくに5歳くらいまではインフルエンザや他の病気で3回入院した。その時「ありがたい」と思ったのが、医療費が無料だったこと。名古屋市では、15歳までは入院も通院も自己負担分を全額助成してくれたのだ。

 厚生労働省の調査(18年度)では、全国1741市区町村すべての自治体で子どもの医療費に何らかの援助をしている。最も多かったのが、名古屋市のように「15歳年度末(中学校卒業まで)」の援助。通院費は1007自治体、入院費が1082自治体で実施している。

 高校卒業後も医療費助成する市区町村はある。

 映画「鉄道員(ぽっぽや)」でロケ地になったことでも知られる北海道南富良野町は、全国で最も手厚い、子ども医療費無料の町だ。就学中であれば22歳まで医療費は無料。しかも、保護者が町内に居住していれば、子どもが高校や大学進学で町外に転出していても対象となる。どうしてそこまで?

「町では高校になると親元を離れ、札幌などの学校に行く子どもが多く親の経済的負担が増してきます。親の負担を少しでもなくし、手厚い保護が定住につながればと考えています」(同町保健福祉課)

(編集部・野村昌二)

AERA 2019年12月16日号

■「届け出なきゃ損!給付金・補助金・控除45」の特集は、AERA12月16日号(9日発売)に掲載しています。取り上げたのは、出産祝い金や児童手当など「該当するだけでもらえるお金」、住宅の購入やリフォームなど「購入した費用の一部を補助してくれるお金」、そして医療費控除や住宅ローン控除など「支払った税金の一部が戻ってくるお金」の3種類。全国一律のものから都道府県や市区町村といった自治体が独自にもうけているものまで、45にのぼる「お金」がありました。

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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