※写真はイメージ(撮影/写真部・張溢文)
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AERA 2019年12月16日号より
AERA 2019年12月16日号より

 届け出でもらえるお金の中でも、意外と知られていない自治体独自の優遇制度。実は子どもの塾代や受験料、医療費を免除する自治体もある。AERA 2019年12月16日号では、子育て世代にうれしいお得な制度を紹介する。

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 子育て支援で「助かった」という声が多かったのは、教育費の助成だ。

 東京都内の会社員の女性(43)はしみじみ振り返る。

「塾代の援助は、ありがたかったです」

 文部科学省の「子供の学習費調査」(16年度)によれば、学習塾などの「学校外活動費」(年間)は、中学校では公立29万4千円、私立26万2千円、高校(全日制)では公立30万2千円、私立39万4千円。教育費の負担が、家庭に重くのしかかる。

 先の女性の高校2年の長男は、中学3年の時受験に向け学習塾に通いたいと言ってきた。女性はシングルマザーで、子どもが2人いる。家計は苦しく塾に通わせる余裕はない。どうすればいいか悩んでいたところ、知り合いが教えてくれたのが受験生チャレンジ支援貸付事業。都独自の取り組みだった。

 同事業は08年度にスタート。景気が悪化し経済的に困窮する家庭が出てくる中、「子どもたちの将来を後押しするため」(都地域福祉課)に設立。18年度は8260件の利用があったという。

 利用には、一人親世帯で3人家族だと年収約380万円以下など世帯の総収入によって条件はあるが、クリアすれば学習塾代を中学3年と高校3年はいずれも最大20万円、受験料を高校受験は2万7400円、大学受験では8万円貸してくれる。しかも進学すれば、返済が全額免除されるのだ。

 女性は収入などの条件に該当したので、長男の学習塾代と受験料、計22万7400円を借りたという。長男は志望高校に合格したので返済は免除。来年4月から高校3年だが、今度も利用する予定だ。

 医療費の助成も、子育て世代にはうれしい。医療費は通常、就学前は2割、小学生以上は3割を患者が自己負担する。だが、少子化対策へのニーズの高まりから自治体が肩代わりすることが多くなっている。

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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