2018年9月、家族3人で長野県松川村に移住した丸山菜保子さん(左)。「生活がしやすく、子育てにも最適です」と移り住んだ家の前で(写真:本人提供)
2018年9月、家族3人で長野県松川村に移住した丸山菜保子さん(左)。「生活がしやすく、子育てにも最適です」と移り住んだ家の前で(写真:本人提供)
AERA 2019年12月16日号より
AERA 2019年12月16日号より

 国だけでなく各自治体が独自に実施する優遇制度も少なくない。どのような支援制度があるのか。AERA 2019年12月16日号では、移住することでもらえる補助金を紹介。自治体が高額な補助金を出す背景とは。

【知らないともったいない!】移住することでもらえる補助金・助成金はこちら

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 北アルプスの山並みを間近に望む長野県松川村。昨年9月、この村に神奈川県から家族3人で移住してきた、丸山菜保子(なおこ)さん(35)は笑顔で話す。

「補助金をもらえ、すごく助かっています」

 夫の優(ゆう)さん(36)が村に隣接する安曇野市の出身で、いつか故郷に帰りたいと考えていた。菜保子さんも田舎暮らしに憧れがあった。こうして長女の、ののこちゃん(5)が保育園に上がるのを機に、村への移住を決めた。

 購入したのは築50年近い中古住宅。価格は700万円。その際、村から補助金50万円をもらい、そのお金を住宅のセルフリフォーム代に回している。

 村での生活は充実し、子どもも伸び伸び育てられるという。

「空気はおいしいし、山が近くにあるので、今は紅葉がすごくきれいです」(菜保子さん)

 出産、病気、失業など「もしも」の時に助けてくれる、誰でも利用できる公的保障制度。だが全国の自治体にも、独自の補助金や助成制度を設けているところは少なくない。「移住」「子育て」「生活」……。各自治体がそれぞれ独自の優遇制度を設けている。

 ファイナンシャルプランナーで、『ケチケチせずに「お金が貯まる法」見つけました!』(三笠書房)などの著書がある風呂内(ふろうち)亜矢さんは、こう話す。

「その自治体がどういう街づくりをしたいと願っているかによって、補助金や助成金は設定されます。教育や医療、介護などさまざまな場面でお金が必要になり困った時は、頼もしい味方になってくれます」

 今、全国の地方の自治体は競うように補助金を出して若者層の移住を促進している。100万円単位で支給する自治体は珍しくなく、住宅取得の場合「最大400万円の補助金を交付」(岩手県葛巻町)や「最大150万円補助」(鹿児島県薩摩川内市)という市や町も。和歌山県では移住者起業補助金を設け、県をあげて移住を促進する。

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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