神奈川県立こども医療センターの感謝の会に、家族で参加していた谷さおりさん(44)は、寄付の理由について、この病院でお世話になったわが子の生きた証しを残したかったから、と話した。新装されるNICUには寄付者の名前を刻むことも予定していると知り、生後8カ月まで生きた峻太朗くんの名で、誕生日にちなんだ額を寄付した。

「お世話になったNICUに、ずっと恩返しがしたかった。NICUで働く医師の方や看護師さんたちが峻太朗の名前を目にしたときにふと思い出してもらえたらうれしい」

 横浜市の遠藤恭子さん(40)は娘の芽依さん(9)が生まれてすぐ、1カ月ほどこのNICUに入院したという。

「産後すぐの頃はNICUで治療を受ける芽依の姿を見て泣いていましたが、先生方を始めこども医療のみなさんが支えてくださって前向きになれたし、ほかの家族ともつながることができた。これからNICUで過ごす赤ちゃんとご家族が、よりよい環境で前向きになれたらいいなと思って寄付させてもらいました」(遠藤さん)

 寄付を通じて、思いのバトンが未来へ受け継がれていく。12月は寄付月間。自分の応援したい先を探してみるのもいいだろう。(編集部・深澤友紀)

AERA 2019年12月16日号より抜粋