※写真はイメージ(撮影/写真部・張溢文)
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AERA 2019年12月16日号より
AERA 2019年12月16日号より

 人生100年時代──そういわれても、将来の生活は想像がつかない。貯金も増えない。しかし、人生の節目やさまざまな場面で公的保障が用意されていることも知っておきたい。きっと不安が少なくなる。AERA 2019年12月16日号では、「届け出でもらえるお金」を特集。「届け出」には主に、児童手当や出産祝い金など該当するだけで「もらえるお金」とリフォームなど「費用の一部を補助してくれるお金」、医療費控除や住宅ローン控除など「支払った税金が戻ってくるお金」の3通りがある。ここでは出産や病気、ケガの際に頼りになる制度を紹介する。

【図でチェック】出産育児一時金、出産手当金などの解説はこちら

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 まずは、出産にまつわる「お金」から。

 出産にかかるお金は平均で50万円前後。出産は病気ではないので全額自己負担だが、出産するのが被保険者であれば、加入する健康保険から出産育児一時金が子ども1人につき42万円支給される。出産するのが被扶養者であれば金額は同じ家族出産育児一時金が出る。

 さらに、会社員や公務員など健康保険に加入している人で、産休中に給料が減額になったりゼロになったりした人は、健康保険から出産手当金がもらえる。支給期間は出産日を含み、産前42日、産後56日まで。たとえば、産休中の給料が日額2千円まで下げられた場合、標準報酬日額の3分の2から、2千円を引いた額が支払われる。ただし、国民健康保険の加入者は対象外だ。『大図解 届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)の著者で、社会保険労務士・ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんが言う。

「自治体によってはお子さんが生まれたら現金や出産祝いを贈呈するケースもあります。ほとんどの自治体では小学校、中学校を卒業するまでは医療費が無料になる乳幼児・子ども医療費助成制度を実施しています。子育て時期のお金を節約できます」

 病気やケガの届け出や制度にも、見落としやすい点がある。

 都内に住む会社員の女性(54)は、数年前のある雨の朝、通勤途中に足を滑らせて尻もちをついたとき、腰の骨を折るケガを負ってしまった。

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