勤めていた頃は、生理痛が重く生理休暇をとりたかったが、男性上司に申し出ることができなかった。

「ましてやいまはフリーランス。クライアントに、更年期で体調が悪くて、とはとても言えない」(同)

 思い切って言ったとしても、男性からはドン引きされるのではないか。多くの女性は、それを恐れている。

 最近、生理についてはオープンに語り合おうという動きが目立つ。生理を擬人化したキャラクターが登場する漫画『生理ちゃん』(小山健作、KADOKAWA)が話題となり、映画化もされた。カラフルなパッケージの生理用品が店頭の目立つ場所に並べられ、「隠すものではない」と紙袋での包装をやめようという声も上がっている。大手百貨店、大丸の梅田店では11月下旬、『生理ちゃん』ともコラボし、女性の体のリズムを意識した衣料や食料品を販売する売り場「michi kake(ミチカケ)」をオープンした。

 健康や医療に関するデータを使った健康経営支援などを手がけるドコモ・ヘルスケアによると、「従業員が女性の生理や更年期について学べるセミナーを開いてほしい」という企業からの要望が増加している。

「『特に更年期について詳しく』と希望される企業も出てきています」(同社のマーケティング・広報担当の島岡希さん)

 生理も更年期も地続きの話だ。ホルモンバランスの変化により体の中で起きる当たり前の現象を、女性も男性もフラットに語りあえるようになれば、家庭でも職場でも、もっと尊重しあえる関係になれるはずだ。葉石さんは、「いまは『更年期』を『幸年期』にするチャンス」と語る。

 人生100年時代。ホルモンとうまく付き合い、人生を充実させていくことは夢ではない。(編集部・石臥薫子、ライター・井上有紀子)

AERA 2019年12月9日号