同大学ではディスカッションが行われ、高校生や大学生ら20人あまりが参加。開催を25日に設定したのは、教皇来日を意識してのこと。イベントのチラシには「ローマ法王来日から世界を考える」とあった。ネットワークの暫定代表で同大4年の中島大樹さんは、「若者が、核兵器廃絶だけでなく国際協力や貧困への取り組みにチャレンジすることが大事だ」と語った。

 長崎には平和活動としてすでに「高校生平和大使」や「高校生1万人署名活動」があり、新たに大学生から社会人も視野に入れた活動が発足したことになる。

 ヨハネ・パウロ2世以来38年ぶりのローマ教皇来日はカトリックの信徒だけでなく多くの日本人に強いインパクトを与えた。同時に被爆国である日本の課題となるメッセージを残した。とりわけ被爆地長崎は、その重みを受け止めざるを得ない。

 米国の核の傘を前提とした枠組みの中でしか核廃絶を考えることができなければ、被爆者の高齢化と減少によって次第に存在感を失っていく可能性がある。広島と連携し、同時に広島とは違う国際的な物語性を持つ被爆地として、どう非核の主張を世界に伝えるのか。グローバルな思考転換が必要だ。(ノンフィクション作家・高瀬毅)

AERA 2019年12月9日号より抜粋