ツイッターでは、「#家出少女」や、寝る場所や食事などを提供してくれる人を待つ「#神待ち」といったハッシュタグが日夜問わず書き込まれ、溢れている。検索をかけると、母親と喧嘩をして家を飛び出したという高校生や、家族に追い出されたという中学生もいた。少女らがツイートするやいなや、下心を隠さない大人とおぼしき利用者から、凄まじい数のリプライが届く。

<大塚のホテルで1泊はどうでしょうか>
<二人のルールが作れれば長期もできますよ!>

 居場所のない少女たちを言葉巧みに誘い、自宅へと呼び込む「泊め男」と呼ばれる男たち。BONDでは、ネットパトロールを行い、こうした少女たちのSOSに耳を傾けている。取材中も、橘さんには少女たちからの連絡が届いていた。

 ある17歳の少女は、母親に「汚い」と言われて家を飛び出した。行く当てはなく、名前も知らない男性のもとに泊まるという。橘さんは、少女に語りかけ、思いとどまるように促していた。

「SNSには“つながりたい系の大人”がたくさんいて、女の子のつぶやきにすぐ反応するし、やりとりもマメです。『寝る場所や食べるもの、着るものもあるよ』と少女たちがほしい言葉を言う。でも、本当は怖いから行きたくないと思っているんです」(橘さん)

(編集部・福井しほ)

AERA 2019年12月9日号より抜粋

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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