食べられるどんぐり、どんな味がするんだろう?
食べられるどんぐり、どんな味がするんだろう?
見つけたどんぐりを分類するのは大変
見つけたどんぐりを分類するのは大変

「どんぐり博士になろう」を合言葉にスタートしたぷれりか(幼児)クラスのプロジェクト。

【どんぐりを分類している様子はこちら】

 私たちはたくさんの種類のどんぐりを拾うため、京都御苑内で毎回異なる場所へ出かけました。

 母と子の森ではクヌギやアベマキやコナラを、京都迎賓館沿いに長く続く小道ではアラカシやマテバシイを、有栖川宮邸跡ではスダジイを主に拾うことができました。

 拾ったどんぐりの中で特に人気を集めたのは「食べられるどんぐり」のスダジイです。電子レンジでチンしたスダジイを子どもたちは最初は物珍しそうに眺めていました。

 勇気を出して一口食べてみると、口の中にほんのり優しい甘みが広がります。

 本プロジェクトでは、ただどんぐりを拾うだけでなく、どんぐりの同定作業にも挑戦しました。

 たとえ同じ種類のどんぐりでも、長細いものがあったり、丸っこいもあったり、形や色の違いはさまざま。

 どんぐり検索表に加えて、どんぐり図鑑も駆使し、楽しみながら種類を特定していきます。

 特にアラカシとシラカシ、クヌギとアベマキの区別は大人でもかなり難しく、葉っぱも含めて総合的に判断する必要性を感じました。

 6週間のプロジェクトを締めくくるのは、恒例のふりかえりタイムです。

「プロジェクトをやってきて、『どんぐり』について新しく知ったことを教えてくれへん?」

 ふりかえりではまずはじめにお決まりの問いを子どもたちに投げかけました。現時点でテーマに対して、どのようなイメージを持っているかを確認するためです。

「どんぐりからゾウムシの幼虫が出てくんねん。気持ち悪ぅ~」

 Nちゃんの発言には保護者の方の多くも納得の表情をされていました。

 クヌギの殻の内側から穴を開けて、外にはい出てくる白い幼虫。その柔らかい体をうねうねさせる姿に愛着を持つのは彼女にとってなかなか難しそうです。

「どんぐりが木になることかなあ」

 Sちゃんにとって、これまでどんぐりと言えば地面に落ちているイメージしかなかったとのこと。絵本の読み聞かせを通じて、生育条件を満たしたほんの一握りのどんぐりが木に成長し、やがてまたどんぐりの実をつけるという自然の循環を学びました。

「どんぐりには食べられる種類がある!」

 ほとんどのどんぐりは苦くて食べられないなか、シイの実の存在を知ったことはプロジェクトをさらに活性化させました。

 ただ、スダジイはたくさん拾ったものの、それよりもおいしいとされるツブラジイを見つけられなかったのがKくんには若干心残りのようです。

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山田洋文

山田洋文

山田洋文(やまだ・ひろふみ)/1975年生まれ、京都府出身。教育家。神戸大学経済学部卒。独立系SIerのシステムエンジニアを経て、オルタナティブスクール教員に。2016年4月、京都市内でプロジェクト学習に特化した探究塾の探究堂(http://tanqdo.jp/)を開校。探究堂代表、認定NPO法人東京コミュニティスクール理事。

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子どもたちの心を捉えた「漆器のようなどんぐり」