少しずつ抽象度が上がってくる小学4年生の算数。なかでも図形単元は「試行錯誤」や「頭の中でイメージすること」が求められ、つまずく子どもが増えると言われています。

「今から算数が苦手になってしまってこの先どうなるの?」
「そんなに難しそうに見えないけれど、どうやって教えてあげればいい?」

『AERA with Kids』(朝日新聞出版)秋号「小学4年生 算数の壁」では、図形問題の克服法について紹介しています。

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 なぜ小4算数の図形問題は急に難しく感じるのでしょうか。これまで多くの小学生に中学受験指導を行ってきた辻義夫先生は次のように話します。

「3年生までの算数では実際に数えたり、なるべく具体的に考えたりしながら解いてきたのですが、4年生になると、見通しを立てたり頭の中で試行錯誤したりすることが増えてきます。図形も同じで、ひとつずつ具体的に考えることに加えて『これまで学んだ解き方を頭の中でイメージしながら、別の方法で解く』という学習が増えるため、少し見方を変えた問題が出ると、勘違いやミスが出てしまうのです」

 思考を試すような問題が増えてくるとなると、普段の学習ではどのようなことに気をつければよいのでしょうか。

「例えば小3で学んだ長さの単位換算は暗記で解いてきた、という子どもは多いと思いますが、4年の面積の単位換算は同じようにはいきません。暗記で何とかしようとすると、5年生の体積の単位換算でさらにつまずいてしまうので、今のうちから『しくみや性質や決まり』など、根本的な理解をしっかりしていくことが大切です。また、頭の中だけで考えるだけでは難しいことも多いので、省略せずにいったん手を動かして書いて確認することも重要ですね」

 それでは具体的な図形単元の解き方のコツを見ていきましょう。

●克服法(1)面積の単位のしくみを理解しながら換算をする(単元:面積の単位換算)

 面積の単位換算のコツは、とにかく「機械的に覚えない」こと。面積は「1辺×1辺」なので、正方形の1辺の長さがどう変わるかを考えながら、辺の長さや単位の変化に合わせて面積がどう変わるかを見ていきます。イメージが難しければ方眼紙に1辺の長さを入れた正方形を描いて考えると、より具体的に把握できます。

 厄介なのは、普段なじみのない「ha」(ヘクタール)や「a」(アール)があること。「1ha」なら1辺は100メートルの正方形、「1a」は1辺は10メートルの正方形。大きい数の場合は田んぼや畑など、例を使ってイメージを持てるようにしましょう。


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AERA編集部
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