こうして、日本初の正式な教員組織のプログラミング研究会「東京都小学校プログラミング教育研究会」(略して「都小プロ」)が誕生した。東京での新設はやはり大きな発信力を持つ。教科研究会のような歴史もないし、小中高の異校種連携も存在しないが、外圧ではなく内部からの自発的な取り組みによって生まれた「都小プロ」は、プログラミング教育を普及させ、一般化させるムーブメントの表れだと思う。

 奥山会長は、早々にご自身のキャラクターを掲載したホームページを作成し、部員募集に着手したところ、現在では49名の部員に増えたと聞く。女性教員も10名以上いることは心強いことだと思う。

 今年は、情報交換と教材研究を中心に研究活動を進める計画であったが、9月には研究授業も行われた。光栄にも私が、第1回の研究授業の講師に招かれた。参加された人数は少ないものの、充実した研究協議ができたと思う。すでに来年度に東京都が主催する研究会の相談もいくつかきているという。

 いずれにしても、この一歩は大きい。公の研究組織として新設された「都小プロ」は、東京都から全国に発信する使命も持ち合わせているのではないだろうか。実際に地方で、マンパワーで活動している自主研究会もいくつか存在すると聞く。もし、この「都小プロ」の立ち上げがロールモデルとなり、地方教育委員会を巻き込み、各地で教員研究会組織が立ち上がったら、子どもたちのプログラミング教育への絶大な推進力となるはずである。

 そのときがきたら、今私が所属する「みんなのコード」も小学校プログラミングというターゲットから、大きな方向転換を余儀なくされるだろう。子どもと接し、日々の実践が物言う現場に敵うはずがない。そうしてフェードアウトすることこそ、我々が目指す「ゴール」なのかもしれない。

 とはいえ、そのゴールまではまだまだ現場の先生方の機運を高めるための火を点け続けなければならない。そのために、今日も朝のまだ暗いうちから東京駅発の新幹線に乗り込み、弾丸出張が続く。

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福田晴一

福田晴一

福田晴一(ふくだ・はるかず)/昭和31(1956)年、東京都生まれ。みんなのコード学校教育支援部主任講師、元杉並区立天沼小学校校長。約40年の教員生活を経て、2018年4月NPO法人「みんなのコード」に入社。61歳で新入社員となる。2020年度からの小学校におけるプログラミング教育必修化に向け、指導教員を養成すべく、全国を東奔西走中

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