外国語としてせっかく英語を学ぶのであれば、やはり気持ちの伝わる英語を話したい。

 まず彼らの英語でお手本にしたいのがほめる表現だ。ほめるときは、I like 〇〇.You are 〇〇.とシンプルでOK、と鈴木さんが説明する。

「I like your hair.I like your shirt.と言うだけで場が和む。最強のほめ表現です。フェイスブックの『いいね』もgoodでなくlike。客観ではなく主観ですよね」

 You are 〇〇.に入る形容詞も、greatやwonderfulだけではない。ファブ5はgorgeous, fabulous,cute,lovely,adorableとありとあらゆるほめ表現で相手をほめ倒す。

「ただしあえて言えば同じ“きれい”でもbeautifulは精神的な美しさも含み、gorgeousは見た目のみという違いはあります。Beautiful heartやbeautiful mindとは言いますが、gorgeous heart,gorgeous mind とは言いません」(鈴木さん)

 彼らに学びたい二つ目のテーマは、「気遣い」だ。人種や思想に基づいた人生観、セクシュアリティーといったテーマに多く触れる上、改造番組であるため、依頼人の現状の問題点をしっかり指摘する必要もある。出会って間もない相手に、不快な思いをさせることなく関係を深めていくために、彼らはどうしているのか。

 三つのポイントを挙げる。

 一つ目は、日本語でも共通する技だが、「何かを指摘するときは、まず褒めてから」というテクニック。I have so much respect for you,but~(とても素晴らしいと思うけど、でも~)のように、相手を肯定する前置きを置いてから、「but」と本題に入るのがコツだ。

 二つ目は、異文化コミュニケーションの観点から。「異文化」である日本にやってきた彼らは、日本社会の背景を詳しく知っているわけではない。それでも常に相手に敬意を払い、礼儀正しくあろうとする。

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