さまざまな支援サービス(AERA 2019年11月18日号より)
さまざまな支援サービス(AERA 2019年11月18日号より)
藤森克彦(ふじもり・かつひこ)/日本福祉大学教授。みずほ情報総研主席研究員。社会保障政策が専門で、『単身急増社会の希望』などの著書がある(写真:本人提供)
藤森克彦(ふじもり・かつひこ)/日本福祉大学教授。みずほ情報総研主席研究員。社会保障政策が専門で、『単身急増社会の希望』などの著書がある(写真:本人提供)

 病気やケガによって仕事を失ったり障害を負ったりするなど生活が一変することもある。そんなときに頼りになるのが社会保障制度や民間のサポートだ。知らないと受けられないサービスもあり、情報が身を助ける。もしものときには、経済面はもちろん生活の質を向上させる支援制度も欠かせない。AERA 2019年11月18日号に掲載された記事を紹介する。

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 まずは介護保険。65歳以上であれば要介護になった原因を問わずに介護保険のサービスを利用できる。40~64歳なら老化が原因とされる病気によって要介護と認定された人のみ。40歳未満や、40歳以上でも交通事故で障害を負った場合は使えず、障害福祉サービスを利用することになる。一見似たような制度に見えるが、

「介護保険のほうがサービスを提供する事業者が多く、障害福祉サービスだと生活の選択肢が狭まってしまう可能性がある」

 と指摘するのは社会福祉士の玉村公樹さんだ。

 入院や手術の際には病院から身元保証人を求められるケースも多い。病院側は緊急時の連絡先や入院費の支払いを保証するという役割を期待しているが、家族のかたちが変わる中で身元保証人が用意できない人も増えている。そんなときには、身元保証を請け負う団体に頼ることもできる。『単身急増社会の希望』の著者で日本福祉大学の藤森克彦教授は言う。

「家族の代替機能を果たすサービスのニーズは高まり、身元保証サービスを行う団体も2010年以降増えていますが、大手の事業者が倒産したこともあります。価格の妥当性や団体のチェック、契約が履行されたかの確認など、公的機関が一定程度監視していく仕組みも必要です」

 入院費の支払いや今後の生活などに不安がある場合は、病院にいる医療ソーシャルワーカーが頼りになる。彼らは、社会保障制度の知識や地域の福祉サービスの情報を持ち、一人一人の状況に合った援助の方法を考えてくれる専門職だ。もし病院で相談できない場合は、東京都医療社会事業協会が行う無料の電話相談なども利用するといい。

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