「実際に、全国の教育委員会から高校教員経験のある指導主事などが専任職としてセンターに送り込まれた。現在は、すべての作題科目部会に彼らが指導・助言役として配置されています」(荒井氏)

 選抜する側の責任だった入試が、選抜される側に主導権を握られる。専門教育機関である大学に、高校までの教育でどれだけその基礎を養成できるのかが課題だったはずの「高大接続」問題の趣旨が、この入試改革では入れ替わったことを意味する。

「中学高校6年間の英語教育で英語をしゃべれないのは、大学入試に4技能評価がないからだ」

 こうした文脈で英語民間試験導入を強力に推進してきた下村博文元文科相は、「パーフェクトを求めていたらやれない」と延期に不満を表明、再導入に執念を見せている。下村氏の主張通り、民間試験を導入することで英語がしゃべれるようになるのかについても、専門家が時間をかけて丁寧に議論して検証する必要があるだろう。次代を担う若者の足かせにしかならないような改革は、国を危うくする。(編集部・大平誠)

AERA 2019年11月18日号より抜粋