床上浸水による家財の被害復旧は時間も費用も膨大にかかる。全額ではないにせよ、水災補償付きの火災保険に加入していて助かった人は多い (c)朝日新聞社
床上浸水による家財の被害復旧は時間も費用も膨大にかかる。全額ではないにせよ、水災補償付きの火災保険に加入していて助かった人は多い (c)朝日新聞社

 東日本を中心に大きな爪痕を残した台風19号。浸水被害が相次いだことで今、水災補償に関心が集まっている。プロに水災時に取るべき行動や補償額について聞いた。AERA 2019年11月18日号に掲載された記事を紹介する。

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Q1:水災補償・もらえるお金
水災の保険でどのくらいもらえる?

 自分が加入した保険の「保険金額」を上限に、修理にかかった費用が全額支払われる。

「セゾン自動車火災保険が広島県で水災に遭った契約者への支払い例を公表しています。雷を伴う豪雨による土砂崩れで、建物が1570万円、家財が225万円の損害を受けたのですが、支払われた保険金総額は2074万5千円。内訳は保険金額の全額に加えて『残存物取片づけ費用179万5千円』と『臨時費用100万円』です」(ファイナンシャルプランナー・平野雅章さん)

 かけていた保険金額を上限にキッチリ修理代が支払われるのが損害保険のいいところ。被害が激しいほど、保険のありがたみを感じる。

Q2:水災時に必ず
水災に遭ったときまずすることは?

 現状の撮影だ。被災時に保険金がどのくらい下りるかは、後から自宅を訪問してくれる調査員の判定により決まるが、被災直後から日数が経過するほど状況は変わるからだ。水災の場合、「地盤または床から何センチまで水が来たか」が大事なポイントになるが、豪雨から1週間も経つと水位も激変してしまう。

 命が安全な状態になったら、とにかくスマホやデジカメで浸水箇所を中心にすべて撮ろう。

「被災した箇所をアップで撮るだけでなく、少し離れて、全体がわかる状態でも撮っておくと手続きがスムーズです。同じ角度からの撮影だけでなく、右側と左側からの両方など、可能な限りでかまいませんので記録してください」(損害保険ジャパン日本興亜/保険金サービス企画部の北野貴嗣さん)

(経済ジャーナリスト・伊藤忍、編集部・中島晶子)

AERA 2019年11月18日号より抜粋

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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