「意見が対立することはありますが、毎日顔を合わせ、話し合いを重ねる中で、観客のみなさんに素晴らしい環境で観戦してもらい、ラグビーの魅力を多くの人に感じてもらって大会を成功させるんだという同じ目的に向かってワンチームになっていった感覚が生まれました」

 ミーティングには、東京五輪・パラリンピックの組織委員会も何度か見学に来たという。

「オールブラックス」の愛称で知られるニュージーランド代表の事前キャンプ地の千葉県柏市では、選手たちが試合前に踊る伝統の「ハカ」を地元の子どもたちが披露して選手たちを歓迎。ウェールズ代表の事前キャンプ地だった北九州市では、公開練習で1万5千人の来場客が、ウェールズの歌を斉唱。市はネットで音源や歌詞を公開し、事前練習を呼びかけた。組織委員会事務総長代理のミック・ライト氏は、「こういった歓迎が各地で行われ、非常に興奮している」と、日本の「おもてなし」を評した。W杯期間中は、試合前のセレモニーで選手と並んだマスコットキッズが出場国・地域の「国歌」を歌い、選手たちを喜ばせた。スタンドでも、歌詞カードを持って歌う姿が見られた。

「W杯では各自治体がホストする取り組みが、日本全体の盛り上がりの大きな要因になったのではないかと思います。来年の五輪でも、開催都市の東京だけではなく、全国各地で参加型の取り組みが広がることが、盛り上がりの鍵を握っているのではないでしょうか」(鶴田氏)

(編集部・深澤友紀)

AERA 2019年11月18日号