ここまでくると、会場のみならずステージ上でも戸惑う様子が見えた。二人の姿が見えなくなるまで万歳三唱は続き、掲げた手の高さもまばらになっていた。

 SNS上でも、鳴りやまない万歳三唱に疑問の声が上がっている。

<万歳三唱怖い>
<ステージの人たちも固まった感じがしていて奇妙だった>
<両陛下も困惑していたのでは>

 伊吹会長のあとに繰り返された万歳三唱の数は、実に15回。音頭をとったのは、スピーカーを通した声だった。奉祝委員会にも「伊吹会長から誰かがマイクを奪い取ったのではないか」という問い合わせがあったという。だが、この万歳三唱は予定されていたものだという。同会の担当者は言う。

「参加者の気持ちを考え、最後までお見送りしたいと、万歳三唱を続けると台本にもある。天皇陛下にも皇后陛下にも感謝の気持ちを伝えたいという自然な思いです。一般参賀では自然発生的に万歳三唱が起きますが、バラバラに言うのではなく、陛下の動きに合わせて音頭をとる思いでした」

 台本であれば、ステージの登壇者らが戸惑ったように見えたのはなぜなのか。担当者は続ける。

「私自身、演出だとわかっていても驚きました。前もって理解していても、びっくりしたのでは」

 予定通りの演出に驚いたのは、国民だけではなかったということだ。(編集部・福井しほ)

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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