大手電力・ガス会社から毎月投函される「ご使用量のお知らせ」。新電力はこうした通知をネット経由に切り替えるなどして料金を下げる(撮影/写真部・張溢文)
大手電力・ガス会社から毎月投函される「ご使用量のお知らせ」。新電力はこうした通知をネット経由に切り替えるなどして料金を下げる(撮影/写真部・張溢文)
公共料金の支払いでポイントが貯まるのは?(AERA 2019年11月11日号より)
公共料金の支払いでポイントが貯まるのは?(AERA 2019年11月11日号より)

 電力の小売りが自由化されてから3年半、新電力事業者の数は1千社を超した。比較サイトを駆使して数社まで絞り込んだ人でも、選択の決め手が見つからないことも。自分に最適な会社の選び方とは。AERA 2019年11月11日号に掲載された記事を紹介する。

【表で見る】公共料金の支払いでポイントが貯まるのは?

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 比較サイトで5~10社に絞った後、最も自分にとって得な1社を選ぶ基準は? 消費生活アドバイザーで節約に強い丸山晴美さんに教わった。

「新電力と契約するときは、初年度の大量のおまけはさておき、2年目からの料金を見て冷静に判断してください」

 確かに初年度はギフト券などの大盤振る舞いが多く、本当の支払額が見えづらい。おまけはおまけとしてありがたく受け取り、純粋な電気料金で比較を。

「次に解約手数料を見てください。約款などに小さな文字で書いてあります。1万円近い解約手数料を設定している会社もあります。仕事で引っ越しが多い方などは対象エリア外に移ると電力会社を変えなければいけないですよね。解約手数料が高いと動きづらいですし、この先もっと得な電力会社が登場したとき、気軽に乗りかえられませんから」(丸山さん)

 加入するときから解約時のコストを考えるとは。でも、納得のアドバイスである。携帯電話会社の電気サービスは2年縛りなどの制約があり、解約手数料も高めに設定されている。

「自前の発電施設を持たない新電力会社が、わざわざ参入する理由は二つあります。まずは顧客をたくさん集めて薄利多売で利益を出すこと。もう一つは、自社の他のサービスに顧客を囲い込むためのツールとして電力を提供することです。たとえば携帯電話会社は『電気とセットで契約すれば、スマホの電話代や通信料金を値下げ』。石油の会社は『ガソリンと電気をセットで安くしますよ』とアピールしています」(同)

 電気料金はいったん契約すると頻繁には切り替えない人が多い。電気をやめれば携帯電話やガス料金も上がる、逆に携帯会社を変えたら電気料金が上がるとなったら「そのままでいいか」と思うからだ。見事な囲い込み作戦。これは皮肉ではない。系列クレジットカードでの支払い特典やポイント付与などが自分のニーズと合っているなら、自ら進んで囲い込まれよう。

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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