令和の「即位礼正殿の儀」に臨む常陸宮さま(前列左)。両陛下を見守った男性皇族は、向かい側の秋篠宮さまと合わせて2人だけだった (c)朝日新聞社
令和の「即位礼正殿の儀」に臨む常陸宮さま(前列左)。両陛下を見守った男性皇族は、向かい側の秋篠宮さまと合わせて2人だけだった (c)朝日新聞社
平成の「即位礼正殿の儀」を終え、松の間を出る天皇陛下(当時)や皇太子さま(同)、秋篠宮さま、常陸宮さま。このとき皇位継承資格のある男性は6人いた (c)朝日新聞社
平成の「即位礼正殿の儀」を終え、松の間を出る天皇陛下(当時)や皇太子さま(同)、秋篠宮さま、常陸宮さま。このとき皇位継承資格のある男性は6人いた (c)朝日新聞社

 男系男子に限った皇位継承が限界に近づいている。令和の即位礼正殿の儀で皇位継承資格のある成人男性は常陸宮さまと秋篠宮さまの2人のみだった。このまま無策でいれば、悠仁さまが即位する頃には皇族がゼロになる恐れもある。AERA 2019年11月11日号に掲載された記事を紹介する。

【写真】平成の「即位礼正殿の儀」。皇位継承資格のある男性は6人いた

*  *  *

 10月22日、天皇陛下(59)が即位を内外に宣言した「即位礼正殿の儀」は、皇室をめぐる課題を視覚的に浮き彫りにした。皇居・宮殿の松の間で天皇陛下と皇后雅子さま(55)を見守った成年皇族は11人、そのうち皇位継承資格のある男性は、秋篠宮さま(53)、常陸宮さま(83)のわずか2人だった。皇室典範が定める男系男子に限った皇位継承は、もはや限界に達しつつある。

 2017年6月、天皇退位特例法案を可決した衆参両院の委員会は、与野党協議の結果、付帯決議にこう明記した。

 政府は、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、本法施行後速やかに検討を行い、その結果を速やかに国会に報告すること──。だが、政府が本格的な検討に乗り出す様子はない。

「仮に、仮にだよ、いま与野党で議論なんてことになったら、えらいことになるよ。天皇制度そのものが危うくなる」

 官邸幹部は強調する。

 立憲民主党は今年6月、女性・女系天皇の容認を支持する論点整理を発表した。皇位継承にあたっては男女を区別せず、「天皇直系」の「長子」を優先するのが望ましいと提言した。一方で国民民主党は同月、母方に天皇の血を引く女系天皇は時期尚早としながらも、男系の女性天皇を可能にする皇室典範改正案の概要を取りまとめた。両党の立場は異なるが、現在の皇室に当てはめた場合、皇位継承順位第1位が天皇、皇后両陛下の長女愛子さま(17)となる点では同じだ。

 来年4月には、秋篠宮さまが皇位継承順位第1位の皇嗣となったことを宣言する「立皇嗣の礼」が控える。その前に秋篠宮さまの立場を揺るがすような議論をすべきでない、というのが政府の理屈だ。政府内では新たな有識者会議は設けず、内閣官房の皇室典範改正準備室が専門家の意見を個別に聞き取り、立皇嗣の礼の後に、一つの方向性を示さない論点整理をまとめる案が有力になっている。

次のページ