それでも、書くことは続けていくつもりだ。

「何かを作るのは好きなんで。それに、何かあって芸能界をやめてやる!というときの声明文が下手だったらいやじゃないですか。この人は言いたいことをちゃんと伝えてるな、という文章を書きたい」

 将来、遺書を書いたとき子どもみたいな文章だったらいやだし、ラジオでの発言が悪意あるネット記事になって訴訟になったときに説得力のある文章が書けないと……。岩井さんの妄想は広がっていく。

 ちなみに章ごとの挿絵も本人によるものだ。

「さらっと描いたように見せたくて描き直しまくってます」

 幼稚園からの幼なじみである相方を率直に語る最終章「澤部と僕と」も見逃せない。(ライター・仲宇佐ゆり)

■ブックファースト新宿店渋谷孝さんのオススメの一冊

 休日にロードバイクで走る自転車サラリーマン、サイクリーマンを描いた『サイクリーマン 1』は、自転車で家庭や仕事の悩みを吹っ飛ばしてくれる爽快な一冊だ。ブックファースト新宿店の渋谷孝さんは、同著の魅力を次のように寄せる。

*  *  *

 自転車選手を嘱望されながらもケガで断念し、今はサラリーマンのタケ(和田竹繁)。自宅の倉庫整理で当時のロードバイクに再会し、近くの河原で軽く走っていると、遮二無二こぎあげてくるケン(矢美津健)に遭遇。にわかレースで意気投合する。ところが翌日、会社で紹介された新任部長は、なんと昨日出会ったケンだった。

 休日にロードバイクで走る自転車サラリーマン、それがサイクリーマン。ひとたび自転車をこぎ出せば、家庭の悩みや職場のストレスも吹き飛んでいくタケとケンの姿を見ていると、新しい自分を見つけに自転車をこぎ出してみたくなる。

 第1話登場の「荒川サイクリングロード」をはじめ、実在する場所が描かれているのも魅力の一つ。読めば乗りたくなるファンライドストーリーだ。

AERA 2019年11月4日号