シューティングゲームをひたすら続けるロボット「Q56(キューゴロー)」が、8月に開催された「こども霞が関見学デー【目指せ!キッズエンジニア!】」で注目を集めた。開発したのはバンダイナムコ研究所。何のために生み出された、どんなロボットなのか。小中学生向けのニュース月刊誌「ジュニアエラ」11月号に掲載された記事を紹介する。

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 段ボール製のロボットQ56が遊んでいるのは、かつて大ヒットしたシューティングゲーム「スーパーゼビウス」。ディスプレーには上から下へ「敵機」が飛来する様子が映し出される。Q56は襲い来る攻撃をかわし、ときに敵をやっつけながら、前進する。ぼやぼやしていると自分が撃ち落とされてしまう。

 Q56はプレー中は真剣そのものだが、ゲームオーバーになると悲しそうに顔をゆがめ、無言で後ろを振り返る。ユーモラスでちょっぴりおマヌケにも見えるが、頭脳はバンダイナムコ研究所が開発したAI(人工知能)だ。

 人間が楽しむために開発されたゲームを、なぜロボットにやらせているのだろう?

「AIについてもっと理解してもらいたい、AIというテクノロジーに愛着をもってもらいたいと考え、さまざまな技能を持つ研究者が集結して、Q56を作り上げました」と話すのは、同研究所のプロデューサー、中野渡昌平さん。

 Q56は、スーパーゼビウスを上手にクリアするための特別な知識を与えられているわけではない。私たちがゲームをするときと同様に、画面を通じて敵の動きを観察し、ときにやられながら、どうしたら敵の攻撃をかわして生き延び続けられるかを常に模索している。

 コンピューターが物事を判断する方法には、大きく分けて二つの種類がある。一つは、人間があらかじめ「こういうときは、こうしなさい」とルールを細かく決めておき、コンピューターはそれに従って情報を処理するというもの。だがこれだと人間が何をどうすればいいか、いちいち教えなければならず、ささいな判断にも膨大な量の命令が必要になる。

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AERA編集部
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