これまでの秋篠宮さまは、天皇との距離を感じさせる局面もあった。04年5月、皇太子時代の天皇陛下が「雅子のキャリアやそのことに基づいた人格を否定するような動きがあったことも事実」と発言すると、その年の11月に「会見という場所において発言する前に、陛下と内容について話をすべき」と批判。昨年11月は大嘗祭(だいじょうさい)の公費負担について、「宗教色が強いものを国費で賄うことが適当かどうか」と問題提起もした。今年4月には、「兄が80歳のとき、私は70代半ば。それからはできないです」と高齢で即位することの難しさを指摘したとの報道もあった。

 近重さんは、「いわゆる天皇と皇太子というお立場では発言しにくい所をカバーされていた側面もあったと思います」と見る。

 前出の原さんは、著書『平成の終焉─退位と天皇・皇后』で、代替わりが皇室の序列の問題に影響するかもしれない、という見方を紹介している。

 平成では天皇・皇后、皇太子・皇太子妃、秋篠宮・秋篠宮妃という明確な序列があった。ところが、令和の時代は、天皇、皇后と同じく「陛下」の称号で呼ばれる上皇、上皇后がいて、皇位継承権では1位の秋篠宮さまと2位の悠仁さま(13)がいる秋篠宮家の存在感が高まるからという理由だ。

 原さんは半年を振り返り、こう感じているという。

「序列が崩れないように細心の注意を払っているように見えます。上皇や上皇后は外出を控えていますし、天皇や皇后の外出と秋篠宮家の外出は平成のときの天皇夫妻と皇太子夫妻の外出を踏まえ、役割分担をはっきりさせています」

 台風19号への対応によって、令和の皇室のパワーバランスを占うことができるかもしれないとも指摘する。

「平成のときのように天皇と皇后が被災地に行くのか、あるいは皇后の体調を考慮し、天皇と皇后ではなく皇嗣夫妻が代わりに行くのか、それとも誰も行かないのかに注目しています。誰も行かなければ平成との違いは明らかになりますし、皇嗣夫妻が行けば、平成の天皇と皇后のスタイルを継承するのは皇嗣夫妻という印象が強まるでしょう」

 これまで6人でもり立ててきた皇室の主な担い手は4人となり、悠仁さまが成人するまで7年ある。次世代の皇室のあり方や、増えすぎた公務の見直しなど、取り組むべき課題が山積するなか、「令和流」をどのように打ち出していくのか。(編集部・皇室取材班)

AERA 2019年10月28日号より抜粋