日本は攻撃も封じられた。ナンバーエイトの姫野和樹は徹底マークされて、ボールを持つと2人がかりで押し戻された。日本が誇る福岡、松島幸太朗のダブルフェラーリも、トライを奪えなかった。

 試合後、相手チーム選手と握手を交わした後、日本代表チームはスタッフも一緒に円陣を組んだ。その輪の中でリーチマイケル主将はこう言ったという。

「下を向く時間は必要ない。このチームを作ってキャプテンとして誇りに思っている。一人ひとりが誇りに思うべき。今後の姿、態度で見せることが大事だ」

 今大会がW杯初出場となった25歳の姫野は、「自分のことに精いっぱいになってしまう場面も多かったので、その点に関してはまだまだ、だなと思います。次の4年後はチームの中心になっていないといけない。この経験をいい経験に変えて、成長していきたい」と語り、リーチマイケル主将について、「やっぱりグラウンドで常に先頭立って引っ張ってくれている。リーチさんの背中を見ているだけで元気になるし。そういうリーダーになりたいなと思います」と新たな決意を語る。

 初出場で5戦すべてに先発した27歳の流は、「正直、ベスト8を達成する自信はありました。アイルランドにもスコットランドにも勝つという準備はしてましたし、そのための準備、取り組みは完璧にできていた。ただ、準々決勝で相手に勝つというマインドまでは作れなかったのが本音。4年かけて準々決勝や準決勝に勝つという準備を始めないと、まだ勝てないという実感はしました。まだラグビー人生ありますし、このチームも新たな歴史を作りましたし、これを塗り替えられるよう、4年間頑張っていきたいと思います」

 2015年の前回大会で南アフリカを破った大金星に続き、今大会はティア1と呼ばれる強豪国を2つ負かすなど4戦全勝で初めて決勝トーナメントに進出した日本。準々決勝で南アフリカに完敗したが、決勝トーナメントの戦いを肌で感じた経験は大きな財産だ。

 これからも続く日本ラグビーが進む「ビクトリーロード」の先に、どんな景色が待っているのだろうか。その挑戦から目が離せない。

(文/編集部・深澤友紀)

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