「斬新な手法を使って、もっとさらっと描かれている作品だと思っていました。ところが実物を見ると、かなり描き込まれていることがわかる。とにかく密度がすごいんです。あらためて、おもしろい作品と感じました」

 この展覧会では、マネのほかにもモネ、ルノワール、ドガ、セザンヌ、ファン・ゴッホ、ゴーガン、ロートレック、ロダンなど、美術史を塗り替えた作家たちの手になる、コートールド美術館のお宝約60点が来日している。

「彼らは美術史上に燦然と輝くキラキラの巨匠と思われていますが、実際はヘンな人ばかりです。世の中の常識からズレたところにいたからこそ、絵を描いていたというのもあるでしょう。そのへんを意識して見れば、いろいろなおもしろさが伝わってくる。逆にすばらしいだけの泰西名画として見てしまうと、おもしろさは半減してしまうのではないかな」

 左は美術史の専門家でもある森村さんおすすめの見どころの一部。視点を変えて、未知の印象派に会いに行こう。(ライター・福光恵)

AERA 2019年10月21日号