3.73%で3位に入ったのは立教だ。平井雪恵財務部長は「選択と集中で今やらなければいけないところに財源を集中し、他のところは抑制するというメリハリを利かせた効果が上がった」と説明する。

 また、立教ではこの十数年で異文化コミュニケーション学部など新たな学部の設置や改組などに取り組んできた。戸井田和彦常務理事は「思い切った投資で、借り入れも積極的にしていた。指標の点数は上がらない状況が続いたが、今になって投資が返ってきている構造だと思います」と話す。

続いては純資産の増減率だ。小藤教授は「7年という期間をとってみているので、この増減率で各大学が置かれている現在の状況がだいたい分かる」という。経営の成否が見える重要な指標と言えるだろう。

 1位は上智で、断トツの47.74%だ。「この理由は明確です」と話すのは、上智学院の引間雅史理事(64)だ。

 上智は16年度、同じイエズス会系の中高一貫校を運営する四つの学校法人と合併した。19年の東大合格者数トップ10にも入っている神奈川の栄光学園、兵庫県の六甲学院などで、4校ともに上智の付属校とはならずに教育の独自性を保つ。イエズス会日本管区が学校に配置する神父が不足していたという事情もあったという。

 2位の駒澤も30.4%と大きな伸び。リーマン・ショック時、資産運用で154億円の損失を計上し、大幅に減額したところからV字回復した。広報課は(1)資産運用の損失後、大学全体で経費支出等全般に抑制政策に取り組んだ(2)保有有価証券の利金が発生した(3)周年事業寄付金、の三つの理由を挙げている。

 3位に入ったのは、日本女子だ。前出のPTA組織からの寄付金に加え、12年度には道路拡幅によって校地の一部を売却した収入が計上されたことから、純資産が大きく増えた。「通常の年度における増加率は他大学と比べて特別に大きいわけではありません」という。

 一方、純資産を減らした大学も三つあった。

 最も減り幅が大きかったのは6.95%減の東京理科だ。対象とした期間中に諏訪東京理科大学(長野県)と山口東京理科大学(山口県)を公立化し、土地建物などを地元に無償譲渡して、資産を除却したことが影響した。過去に決めた地方進出がうまくいかず、大きなマイナスを招いた形だ。(編集部・小田健司、小柳暁子)

AERA 2019年10月21日号より抜粋