日本女子大学(撮影/写真部・小黒冴夏)
日本女子大学(撮影/写真部・小黒冴夏)

 大学を選ぶ基準は様々だ。偏差値。教育内容。研究成果。もう一つ、大学が存続し続けるために重要なのが「経営力」だ。有名私大を「売上高」「純利益」「収益性」「純資産の増減率」で比較した。淘汰の時代を生き残る大学はどこだ。AERA 2019年10月21日号に掲載された記事を紹介する。

【図を見る】有力33私大を七つの指標で分析

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 大学の淘汰が始まっている。18歳人口はピークだった1992年から4割減ったのに、大学数はほぼ同じ期間に1.5倍に増加。一方で5月に募集停止を発表した広島国際学院大学など、2000年代に入り10を超える大学が募集停止や廃校に追い込まれた。つぶれないまでも、経営が厳しくなり教育や研究の水準を維持できなくなる大学は増える可能性が高い。問われるのは、これまであまり重視されてこなかった「経営力」だ。

 今回、アエラは国内33の有力私立大学について、企業分析で一般的に使われる7項目の指標で比較した。

 各指標は、アエラ9月16日号の特集「早稲田vs.慶應最終決戦」でも協力していただいた専修大学商学部の小藤康夫教授(65)が、各大学が公表した「事業活動収支計算書」と「貸借対照表」から算出した。18年度の、系列の高校などを含む法人全体の連結ベースで、純資産の増減率だけは、11年度と18年度の比較となっている。対象とした大学には9月下旬から10月上旬にかけて、対面の取材やアンケートでその背景を聞いた。

 また「大学ランキング2020」(朝日新聞出版)のデータでは、経営力が科研費、教員数などに直結していることが見てとれる。

 項目ごとに見ていこう。まずは規模。特に売上高は学生数が大きく影響する。トップは日本大学で1927億7400万円。単純比較はできないが東京都江東区の18年度一般会計予算とほぼ同水準だ。4位の近畿までを医学部を持つ大学が占めており、大学病院の収入が含まれる。

 純利益は84億5千万円の東洋をトップに、慶應、法政の順になっている。売上高で3位の東海は純利益では20位(15億3500万円)だった。引き下げ要因の一つは医学部付属病院だ。

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