シャインマスカットを贅沢に使った限定スイーツ(写真/筆者提供)
シャインマスカットを贅沢に使った限定スイーツ(写真/筆者提供)

 プロフィルにある通り、筆者は晴れの国・岡山の出身です。岡山県はフルーツ王国とも呼ばれ、桃やぶどうなど多くのフルーツの産地として有名で、筆者の実家も祖父の代からのぶどう農家です。

 一口にぶどう農家と言っても、栽培して出荷する品種は、時代に合わせてどんどん変化してきました。

 祖父の時代には、小粒の種無しぶどうとして有名な「デラウェア」やワインの原料として使われている甘い香りの「ベリーA」、そして当時筆者が一番好きだった、程よい酸味が心地よい「キャンベル」等の品種を生産、出荷していました。

 その後、父親の時代には、ぶどうの女王と呼ばれ、真冬でも30度に保たれた、まさに温室育ちの「マスカット・オブ・アレキサンドリア(通称:アレキ)」や、アレキと巨峰を掛け合わせて生まれた王子様と言ってもいい「ピオーネ」に移行し、現在は弟が「ピオーネ」の他に「シャインマスカット」やハート形の断面が可愛い「瀬戸ジャイアンツ」等を生産、出荷しています。

「シャインマスカット」は、「マスカット・オブ・アレキサンドリア」に病気に強い「スチューベン」という品種を掛け合わせ、さらにさわやかな香りの「白南」という品種を掛け合わせて日本で生まれた、比較的新しい品種です。やや面長の黄緑色の大粒の果実で、パリッとした食感の皮ごと食べられる手軽さと強い甘さで高い人気です。

 筆者が子供の頃、ゴールデンウィーク明けに出荷が始まる「アレキ」の初物は、1粒100円もの価格がついていました(筆者の実家のものはそこまでの値段はしていなかったと思うのですが)。そしてシャインマスカットも、贈答用の上質なものは、1房で10000円以上もの値が付くものもあるほどの超高級品です。糖度も20度以上と、メロンや柿などよりはるかに高くなっていますが、決して甘ったるいという甘さではなく、さわやかで上品な甘さです。

 シャインマスカットはなぜこんなにも高いんでしょうか?

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岡本浩之

岡本浩之

おかもと・ひろゆき/1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2021年1月から取締役 広報宣伝IR本部 本部長。

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シャインマスカットが高くなる理由とは?