赤ちゃんの言葉の発達には個人差があるので、焦らないことだ(写真:gettyimages)
赤ちゃんの言葉の発達には個人差があるので、焦らないことだ(写真:gettyimages)

 1歳半から2歳ごろに「先生、うちの子言葉が遅くありませんか?」と保護者から「言葉の悩み」についてよく相談を受けます。保育所では同じ年頃の子どもたちが一緒に生活しているので、送り迎え時に、自分の子と他の子を比べることがあります。同じ月齢なのによくしゃべる子を見ると不安になってしまう気持ちはとてもよくわかります。

 ですが「発達には個人差がある」ことを忘れてはいけません。これは言葉だけではなく、歩く、走る、ジャンプするなどの身体の発達も一緒です。まずは、赤ちゃんの今の発達を見守ることが第一です。私が0~2歳児の保育をしてきた経験でいうと、大人から聞いた言葉をすぐに取り入れて自分の言葉にできる子と、大人から聞いた言葉を自分の体の中にため込んでいて、ある時突然、爆発的にしゃべり出す子がいます。
 
 赤ちゃんの言葉でアドバイスするときに私が重視しているポイントは「大人の言葉を理解しているか?」ということ。「おはよう」「いただきます」などの日々のあいさつ、「△△ちゃん」と呼びかけたときの反応、「〇〇ちょうだい」「手を洗おう」「トイレ行こう」など日常の何げない会話を理解しているかどうか。言葉が出ないとしても、「この子は言葉の理解はしているから、もうしばらく見守りましょう」ということが多いのですが、保育士にそういわれても、やっぱり心配なのは当たり前。

 今回は、普段の生活の中で、親が簡単にできる、赤ちゃんの言葉を引きだす遊び方を紹介します。

●0~1歳の言葉の発達の段階は?

 0歳児は、まず「泣く」ことで、不快な気持ちを表現し、「微笑む」ことで気持ちいい、楽しいという気持ちを表現しています。そして「あ~」「うぐ~」「ぶ~」「だあ~」というような喃語が出始めます。これが言葉の始まりです。喃語が出始めたら大人も赤ちゃんの喃語に合わせて「あ~」と言ったり、「あ~って言えたね」と返事してみたりしましょう。赤ちゃんは、言葉のやり取りの楽しさを知っていきます。

 0歳では「あ~」「だあ~」というような喃語だったのが、1歳を過ぎると少しずつ意味のある言葉が出始めます。例えば「ママ」「パパ」「マンマ」「ブーブ」など。自分で言いたい言葉を言えるのは大きな発達です。月齢を追うごとに、言葉の数が増え、「ブーブ きた」などの2つの言葉を合わせた二語文を話せるようになります。1歳後半になると、親が「ご飯食べよう」と言うと椅子に座ったり、「いただきます」と手を合わせたり、「ご飯食べるときはこうする」という言葉の理解ができてきます。

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中田馨

中田馨

なかた・かおり/1978年生まれ。兵庫県の認可保育園、中田家庭保育所施設長。一般社団法人離乳食インストラクター協会代表理事。保育士目線の離乳食講座受講生は4年で2000人。自身も中3男子、小5女子の子育て中。

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