何を食べるかと同時に、いつ、どんなふうに食べるかが、よいパフォーマンスをひき出すポイントだ(撮影/写真部・高野楓菜)
何を食べるかと同時に、いつ、どんなふうに食べるかが、よいパフォーマンスをひき出すポイントだ(撮影/写真部・高野楓菜)
血糖値が急上昇しやすい糖質ワースト5(AERA 2019年10月7日号より)
血糖値が急上昇しやすい糖質ワースト5(AERA 2019年10月7日号より)
血糖値の急上昇でパフォーマンスはこんなにも下がる(AERA 2019年10月7日号より)
血糖値の急上昇でパフォーマンスはこんなにも下がる(AERA 2019年10月7日号より)
糖質中毒チェックリスト(AERA 2019年10月7日号より)
糖質中毒チェックリスト(AERA 2019年10月7日号より)

 朝のだるさ、昼食後の眠気、残業時の疲労感──。体質や年齢のせいと思っていた悩みは、食べ方を変えるだけで改善できる。効果はすぐにでも実感でき、習慣化すればパフォーマンスは飛躍的に向上する。AERA 2019年10月7日号に掲載された記事を紹介する。

【図を見る】血糖値が急上昇しやすい糖質ワースト5とは?

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「おい、しっかりしろ」

 千葉県にある総合病院の手術室。29歳の男性医師は、先輩医師の声で目が覚めた。

 ──またやってしまった。

 慌てて姿勢を正したが、先輩は苦い顔、執刀医は無言で手術を続けているが怒っている様子が伝わってきた。医師になって4年目、まだ手術助手をさせてもらえることは少なく、先輩たちの手術を見学することが多い。手術は朝9時ごろに始まり、短くても2時間はかかる。当然、立ちっぱなしだ。集中しなければとは思うが、午前中はどうしても眠気を抑えられない。看護師に肩を叩かれ、起こされることもしょっちゅうだった。

 もともと夜型で、朝は苦手。やることは山ほどあり、仕事はなかなか終わらない。病院の敷地内にある独身寮に帰る時間は深夜になることもある。そこから勉強するので、朝はなかなか起きられない。出勤時間の15分前に起き、途中にある自販機でエナジードリンクを買って朝食代わりにしていた。

 そんな日々が変化したのは今年4月、院内にコンビニがオープンしてからだ。物珍しさもあって出勤途中にサンドイッチやおにぎりを買い、食欲はないながらも食べるとエンジンがかかる時間が前倒しになってきた。明らかに調子がよくなり、朝食を食べるのが習慣になった。すると夜中にドカ食いしたり菓子をつまむこともなくなった。今は起きると自然に食欲がわき、目覚めもよく、居眠りもしない。

「先日たまたま朝食を食べ損ねたら、イライラして仕事に集中できなかった。食べていなかった頃は、そんな不安定な精神状態だったのかもしれません」

 この男性医師が仕事のパフォーマンスを向上できた理由として考えられるのは(1)血糖コントロール(2)体内時計のリセットの二つだ。

 まず、血糖コントロールから見ていこう。

「現代人の多くは、『糖質中毒』に陥っています」

 そう話すのは、『医者が教える食事術』などの著書がある牧田善二医師だ。糖質は主に砂糖や米、小麦、イモ類などの炭水化物に含まれる。糖質をとると、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が上昇するため、血糖値は食事のたびに変動するが、この上下が70~140mg/dlの間でゆるやかに行われるのが、理想的だという。ところが、大量の糖質を摂取すると血糖値がジェットコースターのように急上昇する「血糖値スパイク」が起きる。缶コーヒーやエナジードリンク、砂糖の入ったジュースには、角砂糖7~10個以上の糖質が含まれるものが多い。さらに液体はあっという間に小腸で吸収される。

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