東大卒→米国公認会計士→スタートアップ入社も最初は苦戦…窮地を救った経験とは?

高橋有紀AERA#転職
AERA 2019年9月30日号より
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AERA 2019年9月30日号より

 転職ではこれまでの自信や報酬が一度下がることもあるだろう。キャリアにおいてマイナスのように思えるが、プラスに転じるために必要な経験だった場合もある。AERA 2019年9月30日号の特集「転職の新常識」では、そんな、しゃがんで力をため込みジャンプする「√(ルート)」の形のようなキャリアを築いてきた人に話を聞いた。

【図】東大卒で米国へ行くも…柏木さんの意外な「ルート型」キャリアはこちら

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 転職にとって給与は重要な指標だ。だが価値観は人それぞれ。成長の指標は、収入に限らない。

 マネーフォワードの広報部長を務める柏木彩さん(37)。東大を卒業、イベント運営のリードエグジビションジャパンで1年働いた後、家族の都合で米サンフランシスコへ。滞在中に独学で米国公認会計士(USCPA)の資格試験に合格し、オランダに本社を置く監査会社KPMGのシリコンバレーオフィスに就職する。1年半働いたのちに帰国し、社員30人に満たなかったマネーフォワードに転職。今や600人を超える会社になった。

 はたから見れば華麗なキャリアに見えるが、本人曰く「監査の仕事は向いていなかったし、ずっと自己肯定感は低かった」。特にやりたいこともなく、言われたことをそつなくこなすだけのキャリアだった。

 だが、マネーフォワード入社後、本気で覚悟を決めざるを得なくなる。法人営業として14年3月に入社し、7月まで1円も売り上げを作ることができなかったのだ。自分が足手まといになり、会社のコストになっている。これでは、いる価値がない。必死に考えアクションを起こす毎日が始まった。

 7月に初めて10万円の、11月に300万円の売り上げを達成。結果が出て、俄然楽しくなった。

「そこで初めて、仕事に対してアクセル全開で踏み込めるようになりました」

 エンジンがかかるまで、遠回りをしたようにも見える。だが、スタートアップが向いていると思えたのも、自分の強みがコミュニケーションや、人と人を繋ぐことだと気付けたのも、アメリカ時代があったからだと言う。

「現地では赴任中の人、留学中の人、とにかく人に会いまくっていました。友達がたくさんできて『ベイエリアの母』と呼ばれたこともありました」

 と、柏木さんは笑顔を浮かべる。なかでもスタートアップで働いている人たちと気が合った。面白いと思ったものをやる。こだわりがないことが自分らしさ。現在は広報の他に2部署を掛け持ちして走り回っている。

AERA 2019年9月30日号より抜粋

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