9月27日に開幕する世界陸上選手権。特に注目なのが、日本選手も9秒台の争いに参戦するようになった男子100メートルだ。日本から出場する予定の3選手ともに決勝進出の可能性がある。小中学生向けのニュース月刊誌「ジュニアエラ」10月号に掲載された記事を紹介する。

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 すべては2017年9月9日から始まった。

 この日、桐生祥秀が男子100メートルで9秒98をマーク。日本選手で初めて10秒の壁を破り、9秒台の世界へと突入した。

 そして今年に入ってから9秒台を出す選手が次々に誕生している。6月7日、アメリカでサニブラウン・ハキームが9秒97で走り、桐生の日本記録を更新。7月20日日には、イギリスで小池祐貴が9秒98を記録して、存在感を示した。

 9月27日に、カタールのドーハで世界陸上が開幕する。今季、好調の日本の選手たちが、世界の舞台でどれくらい戦えるのか楽しみで仕方がない。

 では、世界の勢力図はどうなっているのか。今年の男子100メートルのランキングのトップはクリスチャン・コールマン(アメリカ)の9秒81で、9秒8台をマークしている選手がコールマンを含め4人いる。

 サニブラウンは11位で、小池が14位、今季のベストが10秒01の桐生が20位につけている。この3人が男子100メートルに出場予定だが、タイム的には3人全員に決勝進出のチャンスがある。

 特にサニブラウンは伸びしろがたくさんある。まず、スタートがあまり得意ではなく、反応を磨けばよりスピードが上がるだろう。そして本人が「トップスピードに乗るまでにあごが上がる癖があるんです」と話すように、課題は明確。修正を重ねていけばタイムを更新する可能性は十分にあり、来年の東京オリンピックでは決勝進出だけでなく、メダルの可能性も膨らんでくる。

 そして9秒台のスプリンター3人がそろう400メートルリレーは、日本のお家芸。華麗なバトンパスが大きな武器だったが、いまやスピードでも強豪と勝負できるようになった。世界陸上では、ドンピシャでバトンがつながれば、世界の頂点を取ることも決して夢ではない。

 いま、日本の男子100メートルは黄金時代を迎えている。

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AERA編集部
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