【企業の社員食堂で】パナソニックでは2018年3月から社員食堂でサステイナブル・シーフード使用のメニューを日本で初めて導入(パナソニック提供)
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【企業の社員食堂で】写真は「びんちょう鮪&かつおの漬けとホタテ貝柱の丼ぶり、あおさのすまし汁」。真ん中の温泉卵でまろやかに(パナソニック提供)
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【食品スーパーで購入可能】生協やイオンでは環境に配慮して捕られた水産物、MSCやASCのエコラベル商品が買える。コープみらい コープひばりが丘店/東京都西東京市(生活協同組合コープみらい/コープデリ生活協同組合連合会提供)
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 秋の味覚「サンマ」が不漁に陥っている。正月には「マグロ不漁」、夏には「ウナギ不足」も報じられた。魚の危機的状況を食い止めることはできないのだろうか。AERA 2019年9月30日号に掲載された記事を紹介する。

【写真】パナソニックの社員食堂で「サスシー」を使用したメニューはこちら

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 資源を守って次世代につなぐことを“持続可能=サステイナブル”と表現するが、世界の水産資源の回復を目指す国際NPOの海洋管理協議会(MSC)は持続可能で環境に配慮した漁業の国際認証制度を管理しており、認証された漁業により捕られた魚介類には「海のエコラベル」を付けることができる。資源を維持していけるよう、適切な管理を行っている漁業者には第三者機関による審査を経て認証が付与される仕組みだ。

 世界全体の漁獲量は1950年代には2千万トンだった。ピークの90年代には4倍の8千万トン。以降30年間は横ばいで、これ以上は捕れないという限界状態が続いている。

「過剰な漁獲に加え、温暖化による海水温度の変化で魚が移動しており、それが水産資源の管理を難しくしている例もあります」(石井さん)

 魚が捕れないなら、養殖でまかなえばよいのではないか。MSCと同様、適切な養殖で育てられた水産物に認証を与えている国際NPO、水産養殖管理協議会(ASC)日本事務所代表の山本光治さんに話を聞いた。

「養殖も80年代から増え続け、特に最近20年で約3倍に増えました。既に、世界で食べられる水産物の半分を養殖で補っている状況です。ただ、養殖場もむやみに増やせばいいというものではありません。排水や廃棄物も出るため環境を考慮しないと生態系が崩れ、天然魚にも悪影響となり、本末転倒です。エサに天然魚由来の原料が必要な養殖の魚もあるので、天然の魚不足を養殖で補うという単純な置き換えはできません」

 魚の危機的状況を食い止めることはできないのだろうか。企業側の取り組みは少しずつ始まっている。

 前出のMSC、ASCのエコラベルがついた魚製品を採用する企業は直近10年で5倍以上に増えた。エコラベル付き製品を取り扱うためにはコストと時間をかけて企業側も「CoC」という認証を受けなければならないが、イオングループ、日本生活協同組合連合会(コープ)、マルハニチロ、日本水産など約250社がCoC認証を取得している。

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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