ちなみに今回は、中高年に厳しい、タピオカのあまりの胃もたれぶりに、全完食は断念。近所のタピオカ好きの女性会社員(21)に、飲み比べを手伝ってもらった。食べたタピ数を舌で数えなくてはならないため、カニでも食べているように黙々と、手伝ってくれた。

 彼女も梅村さん同様、クレープの食べ歩きから、タピオカのトリコになった一人。タピオカミルクティーだけでおなかいっぱいになるので、会社帰りに、ご飯代わりの一杯を飲んで帰る同年代は多いそうだ。

 かく言う自分は、例えば「春水堂」(チュンスイタン)のように、つるんとしたタピ面(づら)の小粒タイプが好み。12杯の飲み比べで、街を歩いていて黒糖のにおいをキャッチすると、近くでタピオカの行列が必ずあるという、ほかに使い道のない特殊能力も身につけさせてもらった。

「もしかしてあなた、タピオカの写真を撮ってるの?」

 新宿の百貨店脇の道でJKふうのタピオカ写真を撮っていると、自分と同年代の中高年女性に2度、そんな声をかけられた。地方にブームが飛び火したら、つぎはこの手の中高年女性もターゲット。いつまでもブームが終わらず、不景気が来ませんように。(ライター・福光恵)

AERA 2019年9月23日号より抜粋