廣瀬俊朗(ひろせ・としあき)/1981年、大阪府生まれ。5歳でラグビーを始め、北野高校、慶應義塾大学、東芝、日本代表で主将を務める。2016年に引退。TBSドラマ「ノーサイド・ゲーム」に出演(撮影/大野洋介)
廣瀬俊朗(ひろせ・としあき)/1981年、大阪府生まれ。5歳でラグビーを始め、北野高校、慶應義塾大学、東芝、日本代表で主将を務める。2016年に引退。TBSドラマ「ノーサイド・ゲーム」に出演(撮影/大野洋介)
ラグビーW杯日本代表 予想先発メンバーとキャップ数(AERA 2019年9月23日号より)
ラグビーW杯日本代表 予想先発メンバーとキャップ数(AERA 2019年9月23日号より)

 いよいよラグビーワールドカップ2019日本大会が間近に迫ってきた。どの選手にも活躍に期待がかかるが、特に注目すべき選手は誰なのか。前日本代表主将の廣瀬俊朗さんに聞いた。AERA 2019年9月23日号に掲載された記事を紹介する。

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 廣瀬さんに注目する選手を挙げてもらった。まず、プレーヤーとしてはスタンドオフの田村優(キヤノン)。前大会と比べて戦術の引き出しが増え、攻撃の柔軟度が高まってきた日本チームがどんなプレーを選択するかを決める重要なポジションだ。「彼が戦略的にどう判断するのか注目しています」と言う。

自国開催でプレッシャーの強い日本代表にとって精神的支柱であるキャプテンのリーチマイケルもキーマンだ。

 廣瀬さんは前回大会前に主将をリーチに引き継ぎ、W杯ではメンバーに入ったもののグラウンドに立つことはなかった。そこで、控えメンバーとして練習では対戦相手を想定したスタメンの練習相手を務め、グラウンド外ではリーダー陣のサポートに努めた。リーチに対して、どんなチームをつくりたいのか、何を大事にしているのか、今のチームをどう思っているのか、などと問いかけ、リーチ自身の中にある答えを引き出したという。

「僕自身、主将をしてきた経験から、監督やコーチなどマネジメント側ではなく、選手の中にそういう人がいるというのはものすごく大きいことだと思っていました。今大会のメンバーではスクラムハーフが3人入りましたけど、3度目のW杯となる田中史朗(キヤノン)が残った理由も、そこにつながっているのかなと思います」

 日本代表の特徴は、組織力と強豪国にも負けない運動量だ。さらに4年前よりも戦い方の引き出しが増えている。キックを多用し、意図的に陣形が崩れた状況(アンストラクチャー)を作り出し、相手の防御ラインが整わないうちに攻める。一方で、混沌を得意とするフィジー戦ではキックを封印したように、相手や試合展開に応じて戦い方を柔軟に切り替えることができる。

「アンストラクチャーをストラクチャーにするということが、ちょっとずつハマってきたのかなと思います」(廣瀬さん)

 日本戦のチケットを持っていないが、どうしてもスタジアムに似た雰囲気の中で応援したいという人には、ファンゾーンで実施されるパブリックビューイングがおすすめだ。全国16カ所に設置され、無料、チケットなしで入場できる。

 日本代表以外にも見どころはたくさんある。W杯3連覇を目指す「オールブラックス」ことニュージーランド代表や、9日発表の世界ランキングで初めて1位に輝いたアイルランドなど、世界最高峰のプレーを生で見られる貴重なチャンスだ。(編集部・深澤友紀)

AERA 2019年9月23日号より抜粋