医師が困る患者は「巷の情報を妄信」(AERA 2019年9月23日号より)
医師が困る患者は「巷の情報を妄信」(AERA 2019年9月23日号より)

 アエラが行ったアンケートで浮き彫りになった医師と患者の深い溝。命に係わるいざというとき、どうしたら間違えず、納得のいく選択ができるのか。AERA 2019年9月23日号から。

【画像】こんな医師は嫌だ!患者が感じる苦手な医師

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 大切な局面で損しない、賢い患者を目指すなら、納得しないままに医師の「オススメ」を妄信するのもNGだ。医師アンケートでも「『すべてお任せします』という患者に限って、少しでも自分の思った結果と違うと『医療ミス』だと言い募る」という指摘が複数あった。13万部を突破したベストセラー『医者の本音』の著者で、福島県にある総合南東北病院の中山祐次郎・外科医長(39)も、「納得のいく治療を受けてもらうためには、積極的に質問してほしい」と話す。

 だが、忙しそうな医師を前に、「嫌がられるのでは」と気が引けてしまうのが患者心理だ。医師に対して質問するコツを教えてくれたのは、京都大学大学院特定准教授で、『「この中にお医者さんいますか?」に皮膚科医が……心にしみる皮膚の話』の著書がある大塚篤司医師(42)だ。

 例えば、聞きたいことは事前に絞り込んでメモしておく。10個も続くと医師もげんなりすることもあるので、「三つお聞きしたいことがあります」などと質問の数を最初に明示するといい。

 説明を理解するには、「医師の話を録音する」のもひとつの手だろう。アンケートでは「録音したことがある」患者は約1割。医師の側は録音されたことが「よくある」「たまにある」が合わせて約4割いた。現状では、「いい気はしない」「言質を取られるのでは」と警戒する医師も多い。神奈川県の病院の循環器内科医師(36)はこう言う。

「コソコソ録音するのはNGで、医師との信頼関係を壊しかねません。でも、事前に言ってくれさえすれば全く構いません。きれいに音が録れるようにマイクに向けてしゃべってもいい」

「難しい用語を後で調べたい」「一度で理解できる自信がない」などの理由なら、大抵の医師は拒否しない。理解しようとする姿勢を示すことにもなる。

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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