5日のパラグアイ戦に2-0で勝利した日本代表。右サイドからステップを刻んで切り込む久保を止められる選手はいなかった (c)朝日新聞社
5日のパラグアイ戦に2-0で勝利した日本代表。右サイドからステップを刻んで切り込む久保を止められる選手はいなかった (c)朝日新聞社

 パラグアイ戦で日本代表として縦横無尽に活躍した久保建英。若きサムライブルーを未来へと導くのは、猛者が揃う欧州での「移籍」だ。

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 9月5日の国際親善試合パラグアイ戦。後半からピッチに立った久保建英(たけふさ)は、欧州帰りからの疲れを感じさせることなく、パスにドリブルにシュートに、鮮やかなプレーの連発。日本代表を勝利に導いた。久保が言う。

「長距離移動は自分だけじゃないので、それを言い訳にできない。例えば近いところから来ているといわれても、わからないくらいのプレーができたと思います」

 この夏、J1のFC東京から「白い巨人」と呼ばれるレアル・マドリードへの移籍で世界を驚かせた久保。だが、スペインデビューはその白いユニホームではなく、赤いユニホームだった。

 9月1日、スペイン1部リーグのマジョルカの一員として、バレンシア戦の後半34分からピッチに立った。試合は0-2で終了。8月下旬に加入したばかりだが、ドリブルからゴール前の味方へパスして好機を演出する、らしいプレーも見せた。

 久保はすぐに、ワールドカップカタール大会アジア2次予選初戦に挑む日本代表の合宿に参加。チームに合流した3日、報道陣に対応し、こう言った。

「試合に出るために(マジョルカに)行ってるんで、出られて良かったという感じです」

 今回の久保は「期限付き移籍」。いわゆるレンタル移籍だ。あるクラブが選手の保有権を持ちながら、一定期間だけ他のクラブに貸し出すことをいう。将来性を見込んでいるが、自チームでポジションを勝ち取るのは難しい。そんな若手選手を武者修行させる育成手法の一つだ。

 例えば、1月からオランダ1部フローニンゲンでプレーする22歳の板倉滉(こう)(元J1川崎フロンターレ)、この夏に渡欧し、8月31日にスコットランド1部ハーツでデビューした21歳のFW食野(めしの)亮太郎(元J1ガンバ大阪)も、このケースだ。日本を発ったときは、ともにイングランド・プレミアリーグの強豪マンチェスター・シティーへの完全移籍だった。

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