「そもそも『乱れ』とは何を指すのか。全員が同じ格好でないことを『乱れ』というなら、うちの生徒の服装は大いに乱れていますが、学校は荒れていません。入試の面接を心配する声もありますが、普段の格好は関係ありません。先生たちは校則の指導をする時間があったら、受験に必要な学力をつけてあげたほうがいいでしょう」

 教育研究家の妹尾昌俊さんは「教員自身も考えを見直すことが必要」と言う。

「多様性の尊重が求められるいま、学校の慣例や“当たり前”を見直すことが必要です。先生たちは『生徒はこういうふうに指導するものだ』と善意で考えていますが、『もしかするとそれは自分たちの思い込みではないか?』ということを、自ら問い直す必要があるのではないでしょうか」

(ライター・大塚玲子)

AERA 2019年9月9日号より抜粋