18年いっぱいで芸能活動から引退し、19年からはジャニーズJr.の育成や舞台のプロデュースなどに専念している滝沢秀明さん(37)は、20歳のころのインタビューで、ジャニーさんへの憧れを口にしていた。

「本当になりたいのは『プロデューサー』って言われる人かもしれない。特にジャニーさんになりたい! Jr.のオーディションでは俺も審査に参加させてもらっているんですけど、俺はまだ見る目がないんですよ。

 小さいころからショーを作ることがすごく好きだったんです。ジャニーさんにひっついて『俺も海外行く!』って。一緒にミュージカルやショーを見せてもらったり、ビデオをいっぱい借りて、毎日、ずっと見てたりしましたね」(アサヒグラフ「person」02年5月号)
 滝沢さんは、その後もよくジャニーさんへの感謝と尊敬を口にしていた。引退直前のAERAのインタビューでは、こう宣言した。

「僕は一番近くでジャニーさんのやり方を見てきましたから。あのやり方は絶対にこれからも続けなきゃいけないし、残していくべきもの。まだまだ勉強中ですが、僕ができることは責任を持って全部やりきろうと思ってます」(18年12月24日号)

 プロフェッショナルとしてエンターテインメントを追究し、人を育てる一方、一人の人間としてもタレントを尊重した。

 今年1月27日、嵐は20年いっぱいでの活動休止を発表した。会見で「ジャニーさんに報告をしたか」と問われた大野智さん(38)は、こう答えている。

「ジャニーさんからは『僕が決められることでもないと思うし、みんなで決めていくものだと思う。その中で20年という年月よく頑張った、よく頑張ってくれた。ありがとう』という言葉をいただきました」

 6月18日、ジャニーさんは救急搬送された。所属タレントは入れ替わり立ち替わり病室を訪れたという。それでも、仕事の場ではタレントとしての顔を見せ続けた。

 7月1日、「嵐を旅する展覧会」の記者会見の際、嵐の松本潤さん(35)はこう語った。

「この話で会見が暗くなるのはジャニーさんも望んでいないと思いますので、明るく楽しくやりたいと思います」

「Show must go on」──ショーは続けなければならない。ジャニーズの舞台でよく聞かれる言葉であり、ジャニーさんの信条でもある。
 
 最後にジャニーさん自身の言葉を伝えたい。

 15年1月、ジャニーさんはNHKラジオ第1「蜷川幸雄のクロスオーバートーク」に出演し、演出家の故・蜷川幸雄さんと「いかに人を育てるか」をテーマに語り合った。朝日新聞15年1月9日付朝刊「記者レビュー」によると、蜷川さんの「成長しない子だっているでしょ?」という質問に対し、ジャニーさんはこう答えたという。

「いない。30年も50年もやってるけど、一人もいない。どの子だってみんな、人間の美しさってあるんですよ」

(AERA編集部取材班)

※AERA 2019年7月22日号より抜粋