ヒーセ:もちろん、ぼくらの思い入れもわかってもらっていて、信頼関係が大きいんです。スタッフの声はぼくら以外の声だから、ファンの声とも共通するところがあります。

エマ:余白は残してくれていて、ぼくらの話もちゃんと聞いて対応してくれて、いい関係です。

吉井:96年のはじめてのアリーナで靴の管理をしていた青年が、いまはぼくらを動かしていますからね。

アニー:豊臣秀吉みたいだよね、靴温めておきました!って。

エマ:随分あっためたな(笑)。

吉井:やられた! (笑)。頭いいな、あいつ。

 今年、イエローモンキーは結成30周年を迎える。感じている時代の変化のひとつに、吉井は「ロックの価値観」を挙げた。

吉井:20年30年経つと、本当にいろいろなことが変わります。当時、自分たちが格好いいと思っていたロックの価値観は、「セックス、ドラッグ、ロックンロール」。煙だらけで女だらけ、ホテルの窓からテレビ投げたりする。だけど、いまは通用しないし、アウトなこともいっぱいある。若いオーディエンスも求めてない。ぼくらはそのロックの幻想が強すぎて、「ロックってなんだろう」って思うときもありましたね。でも、ロックには形がないからね。

アニー:ロックって、はじめは異端だったじゃないですか。それが世間に受け入れられるようになって、とがる矛先がなくなっているところがある。何に対して反逆性を見せるのかというと自分との闘いだったりするから、人に見せるものではなくなっている気がします。反逆性という感覚自体が古いのかもしれないし。

エマ:ただ、ロックフェスで、いろんなバンドやミュージシャンを見るけど、イエローモンキーはそこに全然入らないよね。イエローモンキーは、異端というか、そのとき求められているものとは相容れないものが常にある気がする。そこは時代が変わっても変わっていない。その異端さが、自分たちが持っているロックなのかもしれないなと思います。

 年を重ねたゆえに、自分たちが変わったこと、今だからやりたいことはあるのだろうか。

次のページ