鴨川デルタで手作りのぐにゃぐにゃ凧を揚げる子どもたち
鴨川デルタで手作りのぐにゃぐにゃ凧を揚げる子どもたち
凧に描いた絵に子どもたちの個性があふれる
凧に描いた絵に子どもたちの個性があふれる

 ぷれりか(幼児)クラスが春に取り組んでいた『風』プロジェクトの続きのお話です。

【完成したオリジナル凧はこちら】

 プロジェクトの序盤、「風を探しに行こう!」を合言葉に、オリジナルの風探索器を作った子どもたち。鴨川に出かけ調査した結果、三角州の先端部分が特に風が強いことを発見しました。

「じゃあ、次は風を捕まえることに挑戦してみよか」

「えっ、どうやって???」

 予期せぬ提案に、彼らは首をかしげて、頭にはてなマークを浮かべています。

 私はサンプルのミニ凧をカバンから取り出し、教室内で凧揚げを実演することにしました。

 その様子を見て、子どもたちもようやく意味を理解したようで、「お正月ちゃうのに」と笑いが起こります。

 探究活動で使用する小道具を自作することが多いのも探究堂の特徴の一つです。

 制作予定のぐにゃぐにゃ凧はゴミ袋と竹ひごを用意すれば、すぐに作れる簡単なものです。

「難しそうやし、無理ーー!」

 何でも出来ていたいという気持ちが強いある女の子から思わずネガティブな発言が飛び出します。おそらく上手に作れず、失敗するかもしれないという思いが頭をよぎったのでしょう。

 探究堂のコンセプトは『オモシロガリヤを育てる寺子屋』。失敗を恐れ、逃げ腰になってしまう子を鼓舞するのも、また私の役目です。

 やる前から難しいと決めつけずにまずやってみようと促すと、彼女は渋々うなずきます。

 私が作業の手順を説明し終えると、早速凧作りのスタートです。

 まずはじめにゴミ袋を適当な大きさにカットし、本体を切り出さなければいけません。親御さんが厚紙の台紙を押さえ、子どもたちは台紙に沿ってゴミ袋にペンで線を引いていきます。そして、その線に合わせてハサミで切っていけばよいというわけです。

 少々の手ブレなど気にせずガンガン切り進める子、失敗しないように慎重にハサミを動かす子、慣れた手つきでハサミを使いこなす子。ハサミの使い方ひとつとっても、それぞれの個性が出るのが面白いところです。

 本体に凧の骨となる竹ひごを貼り付け、凧糸をつければ、ぐにゃぐにゃ凧の完成です。

 ただ、無地のままだと少し寂しいので、油性マーカーを使って自分の好きなように絵を描いてもらうことにしました。

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山田洋文

山田洋文

山田洋文(やまだ・ひろふみ)/1975年生まれ、京都府出身。教育家。神戸大学経済学部卒。独立系SIerのシステムエンジニアを経て、オルタナティブスクール教員に。2016年4月、京都市内でプロジェクト学習に特化した探究塾の探究堂(http://tanqdo.jp/)を開校。探究堂代表、認定NPO法人東京コミュニティスクール理事。

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子どもたちが凧に描いた絵は個性満点