これはもう銀行のカルチャーの違いと言うしかありません。日本の銀行は貸し倒れたらアウト。10貸して一つ二つ成功してもダメなわけです。しかし、アメリカの銀行員は10貸して一つ成功すれば評価されます。貸さずに貸し倒れない奴が出世して経営する日本の銀行と、ちゃんと融資をして、1でも成功した奴が出世するアメリカの銀行では経営方針が違うのは当然です。

 職場にしがみ付かないと生きていけない日本と、いざとなれば自分で勝負できるアメリカではおのずと生きる方法が変わってきます。だから教育も全然違う。日本の教育は先生の言うことを聞けるかが重視されます。上司の言うことをきちんと聞くロボットを育てているわけです。アメリカではなんでもよいから自分から積極的に取り上げる生徒が評価されます。

 しかし、今や人の命令にきちんと従うことに、軍隊以外でどれほどの意味があるでしょう。それより、自分の力でちゃんと生きていける人間を育て、その人間が稼いで納税する方が、国にとってははるかにプラスなはずです。少なくとも、教育と金融のインフラについて、日本は立ち遅れていると言えるでしょう。

AERA 2019年8月5日号

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ぐっちー

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ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中

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