幼少期から木登りをするなど自然の中で遊んだ。男3兄弟の真ん中。顔だけであごなど4カ所のけがをした。医師の父はけがの治療をし「やりたいことをやれ」と言ってくれた。「勉強しろなんて、兄弟は誰も言われていないと思う」と振り返る。3歳で自転車に乗り、就学前にはバク転ができた。

 やりたいことをやり、チャンピオンになったが、それでも自分に満足していない。

「中身がオレじゃなかったら、もっと強いのに、っていつも思いますね。もっと早く最強になれたと思う。あまり貪欲なタイプじゃなかったから、体のポテンシャルみたいなものに気持ちが追い付いていなかった。最近、少し追い付いてきたかな」

 調子がいいときは何も考えなくても体が勝手に動く。そのための秘訣は何かと問うと、ニンマリ笑ってこう言った。

「自由な遊びゴコロですよ」

(ライター・島沢優子)

AERA 2019年8月5日号より抜粋