採用担当の矢野駿さんはそう話す。大学2年生や1年生に内々定を出すこともあるし、今のところ採用例はないが高校生でもウェルカムだという。

 給与も当然一律ではない。

「基準額も最高でいくらというレンジもありません。スキルや経験に応じて適当な額を提示します。また、入社前の内定者に対しても給与改定の査定をします」(矢野さん)

 19年4月に新卒入社したAIエンジニアの荒瀬晃介さん(25)は東京大学大学院1年の夏、メルカリのサマーインターンに参加。その後、本選考を受け、翌月に内定を得た。内定後もインターンを続け、内定期間中に、なんと2度ほど“昇給”した。

「特に2回目は内定承諾後で、採用という意味合いでは提示額を上げる必要がないはずです。それでもインターン中の成果を評価してくれました」

 実際の仕事でも、インターン生と正社員、新卒とベテランといった区別はなく、能力に応じて仕事を任される。入社4カ月の荒瀬さんも、7月からあるプロジェクトのオーナーになった。

「やっただけ正当に評価される安心感があります。頑張って続ければいいと思えるところがやりやすいですね」(荒瀬さん)

(編集部・川口穣)

AERA 2019年8月5日号より抜粋

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川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

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