AIでの測定結果は店内のタブレットコーナーでチェックでき、プリントアウトして持ち帰ることもできる。5月30日のオープンから1カ月半で、すでに約2300人が測定したという盛況ぶりだ(撮影/写真部・掛祥葉子)
AIでの測定結果は店内のタブレットコーナーでチェックでき、プリントアウトして持ち帰ることもできる。5月30日のオープンから1カ月半で、すでに約2300人が測定したという盛況ぶりだ(撮影/写真部・掛祥葉子)

 女性なら一度は経験があるはず。ブラジャーを買いたいけど、測定が面倒……。そんな悩みをAIが解決! 誰にも見られず瞬時にジャストサイズを割り出してくれる。サービスを開始した5月30日から1カ月半で、すでに約2300人が測定したという盛況ぶりだ。

*  *  *

 その昔、神宮前交差点(東京都渋谷区)にあった「原宿セントラルアパート」では、刈り上げヘア+太眉毛のオシャレ(当時)な販売員、ハウスマヌカンが接客に励んでいた。あれから三十数年。今、そこにある「東急プラザ表参道原宿」のショップでは、こんなもんが接客している。AI(人工知能)だ。

 こちら「ワコール 3D smart&try 東急プラザ表参道原宿店」。3Dボディースキャナーを使った身体の計測がセルフでできたり、そのデータをもとにAIと会話しながら商品を選べたり。最新鋭のシステムを使った、ワコールのインナーウェアショップだ。

 ブラジャーのカップは、トップバストとアンダーバストのサイズの差から割り出すものだが、実際にはたとえ同じカップサイズでも、バストの「容量」や「バスト間の幅」などは人によって千差万別となる。

 そうした真にぴったりのブラジャーを選ぶためのデータは、これまでビューティアドバイザーと呼ばれる販売員が、採寸サイズや目測、経験などから割り出すしかなかったという。

「このシステムでは身体の150万点をスキャンすることで、バストの容量など、これまで数値化しにくかったサイズが測れるようになりました」(ワコール広報・宣伝部の村田美紀さん)

 さっそくやってみた。まずは3部屋ある「計測ルーム」のひとつに1人で入って、備え付けの測定ブラと自前のショーツだけの姿に。続いて、3Dボディースキャナーの前の半畳ほどのスペースに立ち、画面のガイダンスに従って測定を開始。すると20台のセンサーが音もなく動作して、またたく間に150万点の測定が終了した。

 その時間、わずか5秒。ウエストサイズを測るときは息を止めて、胸囲を測るときは息を吸って……健康診断でおなじみの原始的な工作も通用しやしない。正真正銘のボディーサイズが、誰にも見られずに測れる。

次のページ