積水ハウスは昨年9月から、通常は無給の育児休業の最初の1カ月を「有給休暇」にした。収入減を気にする男性社員にも、長期の育休取得を促す狙いで、男性社員に対し、少なくとも1カ月以上の育休を取得するよう呼びかけている。今年6月末時点で、3歳未満の子どもを持つ男性社員約1500人のうち、育休取得者は約1千人に上った。

 父親が子育てに参加しやすい雰囲気は、少しずつだが確実に醸成されているようだ。

 30代を中心に父親同士のネットワークを推進するPapa to Children(PtoC)代表理事の川元浩嗣さん(36)は、希望を感じている。

「この1年の間に、子育てに関心を持って積極的に情報交換をしようとするパパ仲間の裾野は広がった」

 同法人が隔月で主催する親子イベント「パパ未来会議」では、子育てに必要なお金からセックスレスの問題まで、「パパの悩み」を積極的に開示し、意見を交換し合う。

 参加者の間で交わされるのは、「保育園登園で子どもが泣き叫ぶ時、どうしたらいい?」「昨日も妻と大ゲンカをしてしまった。話を聞いてほしい」といった等身大の子育て相談。フツウの男性たちが、カッコつけずに子育てを話題にできる場が生まれている。

「職場でもなく、家族でもない、子育てを通じた“ゆるいつながり”に、僕も含めて救われている」(川元さん)

 こういった「子育て悩みの共有」は、これまで女性たちの間で広がり、深められてきた印象があるが、若いパパ層にも同じ現象が起きている。“共働き共育て”が主流となったいま、子育ては男性にとっても、妻任せではなく「自分ごと」だ。(ライター・宮本恵理子)

AERA 2019年7月29日号