結婚前、妻に贈った曲です。ある朝パッとできて、当時アメリカに留学中だった彼女に電話しました。新しい曲ができた、聞く?と聞いたら「うん」と。その場で歌ったら、「いい曲だね」で終わり(笑)。自分の結婚式でも歌いましたが、そのときは私が泣いて、妻はニコニコ。あとで聞いたら、「泣くとお化粧が落ちるから」って(笑)。

 13年の「嘘嘘嘘」はラブソングにも聞こえるが、実は韓国の社会問題に着想を得ている。

 韓国では昔、「こどもの日」に公園や遊園地に子どもが置き去りにされる事件がよく起こったんです。僕自身が父親になった時、そのことを思い出し、子どもたちはどんな気持ちだったのだろうかと想像して書きました。

 デビュー曲の「かたつむり」は、ドキュメンタリー番組からインスピレーションを得た。

 かたつむりは昔海にすんでいたという話から、「殻の中には今も海の歌が響いているのかも」とイメージしました。

 実はこのインタビュー、すべて日本語で行われた。日本に住んだことはないが、日本語能力検定1級を保持する日本通だ。

 30代のはじめに日本に旅行に来たとき、居酒屋のメニューが全く読めなかったのが悔しくて、日本語の勉強を始めました。鯖に手羽先……。今では居酒屋メニューはほぼ問題なくて、手書き文字も読めますよ。

 今後も日本でライブなどを行う予定だという。日本でも幅広い世代から愛されそうだ。(ライター・酒井美絵子)

AERA 2019年7月29日号